のんびり楽しく元気よく

研究以外の調べ学習

聖なる夜に分極化の香りを

はじめに

前投稿してからnカ月経ってしまっていてアレですがひと段落ついたので思いつきをば

12/25はクリスマスらしいです。みなさんケーキは食べましたか。
僕は相変わらず聖なる夜も研究室に来たりツイッターを見たりしていたわけですが、クリスマスといえばやっぱりホワイトハウスのクリスマスカードだと思うんですね。(唐突

クリスマスを祝うときに"Happy Holidays"というのか"Merry Christmas"というのかはここ数年ちょっとした争点になっていて、大統領府がクリスマスカードになんて書くのかが話題になったりもしています。そこで本日は、議員の皆さんがクリスマスをどう過ごしたのかに迫りたいと思います。

みんな実際どんなこと言ってるの

気になるあの人

初手は昨今DCで時の人、ウェストバージニアのManchin上院議員です。

 

 

ばっちりメリークリスマスって言ってますね。まあ保守的な地域の出身なので当然といえば当然。

お偉方たち

上下両院のお偉いさんはどうでしょうか。

こちらもメリークリスマスですね。ちょっと意外かも(?)
ちなみに上院院内総務のシューマーおじさんとかはスペイン語でもメッセージをツイートしたりしてます。

さて

このまま全員分行ってもいいんですが流石にめんどくさいので、議員全員のツイートを集計してみていきたいと思います。

データ

24日の0時から25日の夜12時までに107議会の議員がツイートした内容を全部取ってきて、数字・URL・記号・その他ストップワードを除去したものを政党ごとに分けて使いました。
*英語のツイートのみ抽出しています

ワード・クラウド

とりあえず全部のツイートをまとめて見てみましょう。まずは共和党から。

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共和党のワードクラウド

がっつりメリークリスマスって言うてますね。さすがは共和党(?)

では民主党議員はどうでしょうか。

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民主党のワードクラウド

民主党もやっぱりクリスマスは祝ってそうですが、こっちは他にも結構いろんなことを言ってるイメージですかね。

単語共起ネットワーク

これだけだといまいちよくわからないので、各単語がどんな関係にあるのかみてみたいじゃないですか。そこでとりあえず共起ネットワークを作ってどんな単語が連動しているのかみてみました。

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共和党の共起ネットワーク

真ん中にどどんとクリスマスがあるのとGodとか言い出したりするのが特徴ですかね。Blessingとか言ってるのも共和党っぽさが出てる感じがします。

ではお次に民主党行ってみましょう。

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民主党の共起ネットワーク

一見してクリスマスとホリデーがどっちもいろんな単語と共起しているのが見えて面白いですね。こっちにはGodとかが出てこなくて健康の話とかしてるのが特徴的ですかね。あまり中心になる単語が明確でないところも民主党らしい感じになってます。

本当は次数分布も書こうかなと思ったけどめんどくさいので諦めました。気になるひとはやってみると楽しいかもしれません。

おしまい

クリスマスにも相変わらず分極化時代のアメリカ上下両院は両党で全然違う話をしてて面白いですね。ちなみに今回調べていて気づいたんですが、公開/非公開はあるにしてもアカウント自体はどうもアメリカの連邦議会議員全員持ってるみたいですね。すごい時代になったものです。

勉強ツール入門(東大の人向け)

0. はじめに

 想定してる読み手はB1,2くらいの「なんかレポート書けって言われたけどどうすれば良いかわからん」「資料てどうやって集めるんだ」みたいな東大生です。レポートや論文の書き方本を読んでも一般的な資料の集め方くらいまでしか書いてなかったりするので、(特にサブスク周りで)東大生が使える方法をいろいろ紹介したいと思います。
 多くの場合後になって「なんで誰も教えてくれなかったんや」ってなるのでまあ知っておいて損はないよねくらいの感覚で読んでいただけると幸いです。

1. 資料の閲覧について

 東大は多くの資料を無料で閲覧/ダウンロードすることが可能です。ただし、いくつか条件があって、基本的には学内のWifi(UTokyo-Wifi)経由でしか閲覧/DLすることができません。
 しかし、SSL-VPNを経由すれば大学の外からでも資料にアクセスすることが可能です。VPNにはGACoSの右下の「学外からのアクセス」にあるSSL-VPN Gatewayから飛ぶことができます。認証の仕方はここに書いてあるので参照してください。

 東大の所蔵していない資料でも一般向けに資料が公開されている場合もあります。日本語の資料であればJ-STAGEや各大学のリポジトリで公開されていることが多いです。
 海外の資料については、大学のリポジトリやオープンアクセスになっている資料も多くあります。研究者によっては自分の書いた論文を自前のウェブサイトで公開している場合や、公開前のプレプリントを公開している場合もあります。

1.1. 無料の資料を探す

 東大生が無料で資料を探そうとすると大きく分けて2つくらい方法があります。

1.1.1. 東大付属図書館の本を借りる

 東大の図書館に所蔵されている本であれば、どこの所蔵でも無料で読むことができます。他キャンパスに所蔵されている本については、My OPACから申請をすると自分の所属図書館まで郵送してくれます。
 本を借りる時には、いろんな図書館で借りることができるというのを覚えておくと便利です。図書館の貸出上限は各々の図書館で決まっているので、複数の図書館をまたいで借り出すことで通常より多くの書籍を借りることができます。例えば、学部生であれば駒場図書館で10冊まで、本郷の総合図書館でも10冊まで借りられるので、これだけで合計20冊を一度に借りることができます。
 これは大きい声で言えないやつですが、万一貸出期限を超えてしまい罰則がかかった場合でも、罰則は各図書館ごとにかかるので、他の図書館所蔵の図書であれば貸出が可能です。つまり、駒場図書館で罰則がかかっても、総合図書館の本であれば駒場図書館のカウンターで取り寄せ・貸出が可能ということです。
 また、図書館ごとに貸出冊数や貸出期間が異なるので複数の図書館で借りられる資料は使いやすい館のものを使うと良いと思います。例えば、駒場CPAS図書室はデフォルトの貸出期限が1ヶ月のため、延長申請で3ヶ月まで貸出が可能だったり、弥生の農学生命科学図書館は貸出制限なしで2週間+延長1回が可能です。各図書館の特性を理解した上で利用するとかなり便利に図書館を使えると思います。

*本が返却されていない場合

 たまに貸出期限が過ぎているのに図書が返却されていない場合があります。その場合は「返本申請」をすると(図書館によっては)返却されて借りられるようになります。
*法学政治学研究科図書室は諸事情により待っててもまず返ってこない&返本申請すればほぼ確実に返ってくるので読みたい場合には返本申請すると良いと思います。逆に総合図書館とかで1年以上延滞してるのは望み薄ですね...

1.1.2. 大学が提供しているアクセス権で論文・図書を探す

 論文などは大学の提供するアクセスで読めたりします。基本的にU-Tokyo Wifiに繋いでいる状態であれば自動的に大学のアクセスで資料にアクセスすることができます。
 学外からアクセスするときにはVPNを使います。GACoSの右下にある「SSL-VPNの利用」というところから学外アクセスが可能です。ただし、VPN経由でアクセスしようとすると、リンクを提供しているデータベースを指定する必要があるので予めどのデータベースから読みたい文献がアクセスできるかをTREEやGoogle Scholarなどで確認しておきましょう。

1.2. ちょっとお金使っても良い場合

 お金をかけても良いかなって場合にはもう少し色々できたりします。

1.2.1. 他大図書館の利用

 東大附属図書館に存在していない本であっても、他大の図書館に所蔵されている書籍であれば、所属図書室に依頼して原本やコピーを取り寄せてもらうことが可能です。費用は輸送の実費(とコピーの場合は印刷代)だけです。
 図書館や書籍ごとに利用可能な範囲(貸出可否など)が異なるのでよくわからない場合には自分が所属する図書館の司書さんに聞いてみるといいと思います。

2. 便利なサービス

 いろんなデータベースやサービスがあって混乱する気がするのでおすすめのサービスなどを思いついた順に書いておきます。僕が普段使っているものだけなので網羅性はないです。ごめんなさい。

2.1. 東大のサブスクで使えるやつ

2.1.1. GACoS

 よく「便利だよ」とは聞くけど使いこなせてない人の方が大多数だと思います。僕もフルスペックで活用できてるわけではない、と思う...
 ここでは検索サイト/ジャーナル単位での検索が可能です。が、大事なのはむしろ「マニュアル」の方だと思います。上部のタブから「マニュアル」という所を選ぶといろいろな検索サイトの使い方を解説した資料がまとまっています。自分がよく使うサイトくらいは目を通しておくと、検索能力がめちゃくちゃ向上します。(いつも使ってるサイトの知らない機能とか発見したりもする)

2.1.2. TREE

 横断検索システム。東大の所蔵/契約している資料をほぼ全て横断的に検索することができます。ちょっとレポート書くくらいだったらここでキーワード検索して出てきた資料だけでもなんとかなるでしょう。
 ただし、あくまで「大学がアクセスを提供している文献」しか調べられないのでフリーアクセスの論文や他大所蔵の文献などを検索することはできません。卒論とか書くときにはGoogle ScholarとかOPACとかを併用しながら使うと良いかも。
 オンラインでアクセスできる論文などは、学内からであれば自動的にアクセスできますが、学外からアクセスする際にはアクセスできるデータベース名(Willey Online, Mendeley etc.)などを確認した上でVPN経由でアクセスすることになります。ただ、これだとめんどくさいので学外からはScholarを使うのをお勧めします。
 また、図書館にもオンラインでもアクセスできる論文などの場合はOPACが優先的に表示されてしまうのでTREEで図書が表示されたとしてもオンラインでアクセスできる場合もあります。

2.1.3. Maruzen eBook

 IDでログインできるようになったので大分使いやすくなってます。VPNの電子ジャーナル一覧からアクセス方法が記載されたpdfに飛べるようになっているので。見てみてください。
 丸善のアクセス権限は閲覧可とDL可のものに分かれていて、DL可能な本は基本的に1度のアクセスで60ページまでDLすることができます。授業オンライン化に伴ってアクセスできる教科書類が増えているので確認しておくと良いかもしれません。

2.1.4. 文献管理ツール

 文献管理周りは好み次第というところが大きいのでどれが一番ということはありませんが特にレポートや卒論とかを書く際にはあると便利なので何かしら好みに応じて使ってみると良いと思います。
 東大がサブスクを持っているのだとMendeleyEndNoteがあります。フリーだとzoteroとかも便利ですね。それぞれ使用できる容量やデスクトップアプリの有無などに差があるので用途にあったものを探してみてください。

2.1.4. ICPSR

 僕はこれ去年ゼミ論書いてる最中に気づいて発狂したんですが、東大生ICPSRのアカウント作れるんですよね、タダで。
 詳しい解説はICPSRの国内利用協議会のページとかを参照して欲しいんですが、World Value Surveyとかの社会科学・人文学系のデータを公開してる組織です。登録すれば学部生でも普通にデータ取得できるのでデータ探してる時は確認してみると良いと思います。

2.2. フリーで使えるもの

2.2.1. Google Scholar

 TREEが結構便利なのであまり使ってない人も多いかも。だけど、在宅で資料を探すには意外と便利なのです。
 Scholar先生は、設定から自分の所属大学を登録することができ、検索した時に所属大の電子アクセス権があるかを教えてくれます。何が便利って、TREEだと、図書館に書籍があるとOPACに誘導されてしまうんですが、Scholarなら電子書籍で読める場合には電子媒体があることを教えてくれるので、図書館に行けなくても資料を参照することができるんです!
加えて、Scholarで検索した場合にはオープンアクセスのものも閲覧可能資料として教えてくれるので、読める文献を見逃すことも少なくなります。
 ちなみにScholar先生は優秀なので、「〇〇という文献を引用している文献」とかを探すこともできます。

2.2.2. unpaywall

 アクセスした論文がフリーアクセスになっているかどうかを確認してくれるgoogle chromeの機能拡張です。論文は、アクセスしたウェブページではフリーアクセスになっていなくても、どこかで無料で読めたりすることがあります。そうした場合に、いろいろなウェブページにアクセスすることなく、フリーアクセスのpdfデータにたどり着くことができます。ここから導入できます。

chrome.google.com 
 ただし、機関アクセスの文献を見つけることはできないので、ちゃんとした探し物というよりは見落としを減らすとかたまたま見かけた論文が読めるのに気づくとかいう方面での役立ち方がメインだと思います。

2.2.3. その本、図書館にあります。

 Amazonで本を見た時にその本が自分の所属図書館にあるかを確認してくれる機能拡張です。ここから導入できます。

3. おわりに

 今回紹介したもの以外にも、東大生はスパコンがタダで使えるだとかまあ色々便利な機能があるので「こんなことできないかな」と思ったら先生とか友達とか先輩とかに聞いてみると良いと思います。
 せっかく高い学費払っているので使えるものは使い倒していきましょう。

 

「もっと女性を」なのか「もっとフェミニストを」なのか

0. はじめに

専門と全然関係ないトピックを書くのどうなんだって感じはするんですがまあ試しにやってみたということでご笑覧ください()

*ちなみにタイトルはTremblay & Réjean(2000)のパクリです。 

1. 女性議員は何を代表しているのか

 日本の議員に占める女性の割合がアホほど低いのはまあ周知の事実ではという感じがするので細かい話は端折りますが、端的に言うと「女性議員増えたところで何が変わるん?」ということをもう少しちゃんと議論した方が良いんではなかろうかというのが今回の関心です。

 ぶっちゃけこの辺り海外を対象とした実証研究はたくさんあって、多くの研究で女性議員は男性議員と異なる行動をする傾向にあることがわかっています。具体的には、女性議員の方が男性議員に比べて女性の身体・権利に関わる問題やケア、教育などの問題について関心が高いことや、選挙区対応に時間を割く傾向にあることなどが指摘されています。

 じゃあ日本はどうなのさ。ということで今回は日本の国会で議員が喋ってることにどれくらい性差が反映されるものなのかというのを調べていこうと思います。

2. データと方法

2-1. データ

2-2. 方法

  • トピックモデルで文章のトピックを推定→トピックごとに言及率が性別で変化するかを回帰分析で調べる
  • 回帰分析の統制変数は性別・当選回数・所属政党

 
3. 分析

3-1. 図表の類

  • 推定したトピック

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  • 回帰分析テーブル

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*ちょっとみにくいですが、各トピック(上の推定したトピックに対応)への言及度を各変数で回帰してる表です。注にはありますが、各政党と性別(女性だと1・男性だと0)のダミー変数と当選回数を変数に入れてます。括弧内に示されているのが各推定値のp値です。

3-2. 何がわかるのか

 衆議院だとトピック6及び7で議員の性別による差異が目立っています。トピック6は経済とか労働問題ぽい単語、トピック7は教育政策ぽい単語が上位に来ているので、労働や教育などの分野について、女性議員は男性議員よりも議会で言及しやすい傾向にあると言えそうです。

 参議院の場合は、トピック4で有意に性別による差異がみられます。トピック4は「障害者」や「家庭」などケアに関わる単語が上位に来ているため、こういった問題について議員の性差で言及するかどうかが変わって来そうだということがわかります。

 

4. 結論?

 ざっくり言えば、女性議員と男性議員とで代表してるもの違いそうだよねってところです。注意書きをいくつかしておくと、

  • だからクウォータをやるべきみたいな話に直接いくわけではない
  • これは「議員の性差」の話であって、女性議員が女性を代表しているかということは(少なくともこの分析からは)わからない

せいぜい言えるのは党派性を超えて性別によって違うことを議論する傾向にあるようなので女性議員が増えると議会で代表される主張がもう少し増えて良いのでは?くらいのものだと思います。

国会議事録以外にも、議員のブログとかツイート、広報なんかも調べてみると面白いと思うんですが、次回以降に期待ということで..