「もっと女性を」なのか「もっとフェミニストを」なのか
0. はじめに
専門と全然関係ないトピックを書くのどうなんだって感じはするんですがまあ試しにやってみたということでご笑覧ください()
*ちなみにタイトルはTremblay & Réjean(2000)のパクリです。
1. 女性議員は何を代表しているのか
日本の議員に占める女性の割合がアホほど低いのはまあ周知の事実ではという感じがするので細かい話は端折りますが、端的に言うと「女性議員増えたところで何が変わるん?」ということをもう少しちゃんと議論した方が良いんではなかろうかというのが今回の関心です。
ぶっちゃけこの辺り海外を対象とした実証研究はたくさんあって、多くの研究で女性議員は男性議員と異なる行動をする傾向にあることがわかっています。具体的には、女性議員の方が男性議員に比べて女性の身体・権利に関わる問題やケア、教育などの問題について関心が高いことや、選挙区対応に時間を割く傾向にあることなどが指摘されています。
じゃあ日本はどうなのさ。ということで今回は日本の国会で議員が喋ってることにどれくらい性差が反映されるものなのかというのを調べていこうと思います。
2. データと方法
2-1. データ
- 議事録のデータは国会会議録検索システムから
- 議員の情報は各院のウェブページから(衆議院・参議院)
- 期間は直近の選挙から203議会まで
2-2. 方法
- トピックモデルで文章のトピックを推定→トピックごとに言及率が性別で変化するかを回帰分析で調べる
- 回帰分析の統制変数は性別・当選回数・所属政党
3. 分析
3-1. 図表の類
- 推定したトピック
- 回帰分析テーブル
*ちょっとみにくいですが、各トピック(上の推定したトピックに対応)への言及度を各変数で回帰してる表です。注にはありますが、各政党と性別(女性だと1・男性だと0)のダミー変数と当選回数を変数に入れてます。括弧内に示されているのが各推定値のp値です。
3-2. 何がわかるのか
衆議院だとトピック6及び7で議員の性別による差異が目立っています。トピック6は経済とか労働問題ぽい単語、トピック7は教育政策ぽい単語が上位に来ているので、労働や教育などの分野について、女性議員は男性議員よりも議会で言及しやすい傾向にあると言えそうです。
参議院の場合は、トピック4で有意に性別による差異がみられます。トピック4は「障害者」や「家庭」などケアに関わる単語が上位に来ているため、こういった問題について議員の性差で言及するかどうかが変わって来そうだということがわかります。
4. 結論?
ざっくり言えば、女性議員と男性議員とで代表してるもの違いそうだよねってところです。注意書きをいくつかしておくと、
- だからクウォータをやるべきみたいな話に直接いくわけではない
- これは「議員の性差」の話であって、女性議員が女性を代表しているかということは(少なくともこの分析からは)わからない
せいぜい言えるのは党派性を超えて性別によって違うことを議論する傾向にあるようなので女性議員が増えると議会で代表される主張がもう少し増えて良いのでは?くらいのものだと思います。
国会議事録以外にも、議員のブログとかツイート、広報なんかも調べてみると面白いと思うんですが、次回以降に期待ということで..